アラバマ州のロードトリップ：歴史とホスピタリティが出会う場所

ナッシュビル国際空港（BNA）に到着したら、レンタカーを借りてアラバマ州のロードトリップを始めましょう。宇宙探査における革新の歴史にちなみ、「ロケットシティ」と呼ばれるハンツビルが最初の目的地です。アメリカ宇宙ロケットセンター（U.S. Space & Rocket Center）からスタートし、著名な宇宙船を見学し、宇宙飛行士になるための条件について学びます。出発前に、イントゥイティブプラネタリウム（INTUITIVE Planetarium）で没入型のショーを鑑賞しましょう。そこからわずか 10 分ほどの場所にあるハンツビル植物園（Huntsville Botanical Garden）には、国内有数の規模を誇るバタフライハウスや、テーマごとに美しく整備された庭園を楽しめます。夜はダウンタウン・クイグリー・アーツ & エンターテインメント地区（Downtown Quigley Arts & Entertainment District）で過ごし、1 日を締めくくりましょう。素敵なブティックに立ち寄ったり、地元のレストランに入って軽食をとったり、コーヒーやクラフトビールを飲んだりしながら、地区のシークレット・アート・トレイル（Secret Art Trail）の散策をお楽しみください。

ハンツビルからほんの 1 時間くらいの距離にあるマッスルショールズは、「世界のヒット音楽の中心地」とも呼ばれています。ここには、アメリカで最も重要な音楽スタジオの 1 つであるフェイム・レコーディング・スタジオ（FAME Recording Studios）があります。60 年代のファンキーな「マッスルショールズサウンド」が誕生した場所であり、アレサ・フランクリン、オールマン・ブラザーズ、ウィリー・ネルソンのような影響力のあるアーティストたちが彼らの大ヒット曲を録音した場所でもあります。そこから 4～5 キロメートル離れた場所にあるのが、「アラバマ州のアビーロード」と呼ばれるマッスルショールズ・サウンド・スタジオ（Muscle Shoals Sound Studio）です。1969 年に、フェイムスタジオでマッスルショールズサウンドの創造に貢献した有名なスタジオミュージシャン、スワンパーズが設立したこの新しいスタジオは、この地域の卓越した音楽の伝統を引き継ぎました。どちらの会場でも、オフィスとスタジオのガイド付きツアーが毎日催行されています。

次はフローレンスに向かい、W・C・ハンディ生誕地、博物館および図書館（W.C. Handy Birthplace, Museum and Library）を見学しましょう。「ブルースの父」として知られる W・C・ハンディが生まれた丸太小屋を改装したこの博物館には、彼の生涯にまつわるゆかりの品々が保存され、その音楽がアメリカ文化に与えた深い影響が探求されています。夜は、ガンランナー・ブティック・ホテル（GunRunner Boutique Hotel）の贅沢な客室、またはルネッサンス・ショールズ・ホテル & スパ（Renaissance Shoals Hotel & Spa）の音楽をテーマにしたスイートでお休みください。

マッスルショールズから南東部へ 2 時間の距離に位置するバーミンガムに進みましょう。最初に向かうのは、バーバー・ビンテージ・モータースポーツ博物館（Barber Vintage Motorsports Museum）です。ここでは、世界最大級のオートバイのコレクションや復元されたビンテージスポーツカーを鑑賞できます。訪れる前にカレンダーを確認し、敷地内のバーバー・モータースポーツ・パーク（Barber Motorsports Park）で開催されるモータースポーツイベントを観戦する計画を立てておくのもおすすめです。

バーミンガムは、20 世紀中頃の公民権運動の間、アクティビストたちの中心的な場所で、アメリカ公民権トレイル（U.S. Civil Rights Trail）の沿道にある各スポットでは、数多くの重要な場所や物語が偲ばれています。南北戦争の主要な史跡のほか、アメリカ公民権トレイルの見どころの大部分があります。トレイル沿いの卓越した見どころの 1 つが、さらに大規模なバーミンガム公民権運動国定史跡（Birmingham Civil Rights National Monument）の一部であるバーミンガム公民権運動博物館（Birmingham Civil Rights Institute）です。スミソニアン博物館と提携しているこの博物館では、マルチメディアギャラリーや展示品を通して、バーミンガムの黒人の歴史を探求しています。その中にはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが「バーミンガム刑務所からの手紙」を書いた独房も収められています。その後は、多くの学生が公民権の抗議行動に参加した場所、ケリー・イングラム・パーク（Kelly Ingram Park）で探索を続けましょう。現在では彫刻と説明用サイネージが設置され、警察の暴力に見舞われた 1963 年の児童のデモ行進の出来事を記念しています。

バーミンガムから 1 時間半くらいドライブをすると、州都モンゴメリーに到着します。ここはハンク・ウィリアムズやローザ・パークス、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが歴史を刻んだ場所です。最初の立ち寄り先としておすすめの場所は、ハンク・ウィリアムズ博物館（Hank Williams Museum）です。ここには、多大な影響力があったこのアラバマ州出身のカントリー歌手の生涯と遺産にまつわる品々を展示しており、彼を象徴するブルーのキャデラックも見ることができます。バーミンガム同様、モンゴメリーには数多くのアメリカ公民権トレイル（Civil Rights Trail）の見どころがあり、ローザ・パークス・ミュージアム（Rosa Parks Museum）やデクスター・アベニュー・キング・メモリアル・バプテスト教会（Dexter Avenue King Memorial Baptist Church）などが挙げられます。続いて、衝撃的な 3 ヵ所の史跡、すなわちレガシー博物館（Legacy Museum）、平和と正義のための国立記念碑（National Memorial for Peace and Justice）、自由記念碑彫刻公園（Freedom Monument Sculpture Park）へと向かいます。これらの史跡では、アメリカの奴隷制度廃止と人種差別との闘いについて、さらに深く学びたい人たちに、洞察に富んだ体験を提供しています。「レガシーサイト（Legacy Sites）」の総称で知られるこれら 3 ヵ所の史跡では、相互間の無料シャトルサービスを提供しています。そうした重要な歴史を探索した後は、モンゴメリーホワイトウォーター（Montgomery Whitewater）でホワイトウォーターラフティングを楽しんだり、ジェリーズ・ジューク・ジョイント（Jerry’s Juke Joint）で音楽を聴いたり、ハリオット II リバーボートに乗ってアラバマ川（Alabama River）の穏やかなボートクルーズを楽しんだりするのもよいでしょう。

モービルに向かって南へ進みましょう。ここはアメリカ湾の文化のるつぼとも言える都市です。フランス、スペイン、イギリス、アフリカからこの街が受けた影響は、おそらくダウンタウンで最も顕著です。ダウンタウンでは、コンデシャーロット博物館（Conde-Charlotte Museum）で地元の歴史を探ったり、モービルカーニバル博物館（Mobile Carnival Museum）でマルディグラの起源を発見したり、ビアンビルスクエア（Bienville Square）で絵のように美しいオークの木々や装飾的な鉄製のベンチを鑑賞したりすることができます。ここで一度ランチタイムにし、地元のレストランに毎日届けられる、獲れたてのシーフードをいただきましょう。そこから、アフリカタウンでちょっとした時間を過ごしてください。この地区は、アメリカに入国するために最後の奴隷船で到着したアフリカ系の男性たちや女性たちによって築かれた、アメリカで唯一残っているコミュニティです。アフリカタウン・ヘリテージ・ハウス（Africatown Heritage House）を訪れ、受賞歴のあるギャラリー、クロティルダ展（Clotilda: the Exhibition）で、この遺産について詳しく学びましょう。エアボート、カヤック、ボートツアーで、モービル・テンソー川デルタ（Mobile Tensaw River Delta）の息をのむような景色をお楽しみください。そこはアメリカ最大の湿地の 1 つであり、生態系の多様性が極めて豊かであるため、「アメリカのアマゾン」と呼ばれています。フェリーに乗って短時間でアクセスできるドーフィン島（Dauphin Island）は、白砂のビーチが広がるバードウォッチングの楽園で、さらにすがすがしい空気を味わえます。

アラバマ州のロードトリップは、人気のあるビーチフロントの町、ガルフショアーズとオレンジビーチで終わります。ガルフコーストの白い砂浜が 51 キロメートルも続くこのエリアは、まるで楽園のようです。ターコイズブルーの海を船で回る観光クルーズに参加してイルカを見つけたり、色鮮やかな夕日の眺めを楽しんだりするのもおすすめです。歴史マニアにとって、モーガン砦州立史跡（Fort Morgan State Historic Site）は必見です。この砦は、1834 年に建設された前哨基地であり、南北戦争、米西戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦で活躍しました。コンクリート製の砲台を巡るツアーに参加し、現地の軍事史博物館で保存されている遺物を見学してみましょう。ウォーターフロントでのショッピングや食事が充実したザ・ワーフ・エンターテインメント地区（The Wharf Entertainment District）で、1 日を締めくくりましょう。ワーフアンフィシアター（Wharf Amphitheater）でショーを見たり、観覧車に乗ったり、レーザー・ライト・ショーで夜を終わりにすることもできます。

ルイジアナ州ニューオーリンズへ乗り継いで、南部のロードトリップを続けましょう。モービルまで車で戻り、ニューオーリンズまで 1 日 2 本運行する旅客列車、アムトラックのマルディグラサービス（Amtrak Mardi Gras Service）に乗るのもおすすめです。ミシシッピガルフコースト（Mississippi Gulf Coast）沿いに停車駅がいくつかあります。ニューオーリンズの歴史的な建築物や音楽が流れる街を探索した後、ルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港（MSY）から飛行機で帰路につきましょう。